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Dr.司馬

(この記事は医心伝心からの転載です)

水質の汚染によって発生する感染症のことを水系感染症と言います。

水系感染症(英: waterborne disease)とは病原微生物に汚染された水を直接摂取することを原因とする感染症。汚染された水が調理に使用されると食中毒の原因となる。世界保健機関によると、下痢性疾患は全DALY世界疾病負担の4.1%を占め、毎年180万人の死の原因となっている。水系感染症の原因の88%が公衆衛生および衛生学的に安全でない水の供給によるものと推定され、特に発展途上国の子供に水系感染症の被害が集中している。

水系感染症は原虫、ウイルス、真正細菌が原因となり、多くは消化器疾患を引き起こす。

引用:水系感染症−Wikipedia


もちろん、洪水などの水害が起これば水系感染症が発生するリスクも高くなります。

この水系感染症として代表的なものの一つが、赤痢です。

赤痢には細菌性赤痢とアメーバ赤痢とがあり、それぞれ病像や治療法は異なりますが、いずれも糞便に汚染された水や食物を摂取することによって感染する病気です。そのため、上下水道の整備が不十分な発展途上国を中心に流行が見られます。(アメーバ赤痢については、先進国において男性同性愛者に多く見られる性行為感染症としても知られています。)

衛生環境の良い近年の日本での発生は少なくなっているのですが、それでも細菌性赤痢・アメーバ赤痢ともにそれぞれ年間数百例の報告があります。海外旅行へ行って感染した人や輸入食品による食中毒が大半ですが、井戸水からの集団感染も報告されています。1998年には長崎市で821名の細菌性赤痢の集団感染が発生した事例も報告されています。

ひとたび衛生環境が悪化すれば、赤痢は日本においても十分に流行しうる病気であると言えます。
 

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(この記事は医心伝心からの転載です)

コレラは、コレラ菌に汚染された水や食物を摂取することによって感染する病気です。下痢とそれに伴う脱水症状が主症状であり、軽症で済む場合も多いのですが、体力の弱い高齢者や乳幼児などは重症化して死亡するケースもあるので依然として注意すべき感染症です。

上下水道が完備し衛生環境の良い我が国での国内発生は少ないですが、世界では毎年数十万人の患者が発生していると言われています。

 

○コレラの定義

コレラ菌は細胞壁表面の抗原により200種類以上の血清型に分類されていますが、その中でコレラ毒素を産生するのは、O1型もしくはO139型のコレラ菌です。WHOの報告基準では、コレラ毒素を産生するO1血清型コレラ菌およびO139血清型コレラ菌によるものがコレラと定義されており、わが国でも同じ定義が用いられています。また、O1型コレラ菌は生物学的特徴の違いからアジア型(古典型)とエルトール型の2種類に分類されています。

○世界におけるコレラの流行

コレラはもともとインドのガンジス河下流の風土病であったものが、交通の発達にともない世界各地に拡がったと考えられています。記録上、コレラは過去に7回の世界的流行(コレラ・パンデミック)を起こしています。

第1次パンデミック(1817〜1824)から第6次パンデミック(1899〜1923)までは、すべてインドのベンガル地方から拡大し、原因となったのはO1血清型の古典型(アジア型)コレラ菌でした。

1961年にインドネシアのセレベス島に端を発した第7次パンデミックは、O1血清型のエルトール型コレラ菌が原因です。この流行は現在でも世界中に広がり終息する気配はありません。

また、1992年にはインド南部のマドラス(現チェンナイ)からO139型コレラ菌による流行が発生しました。以来、O139型コレラ菌はインドとバングラディッシュで散発的な地域的流行を繰り返していますが、世界規模での流行は起こっていません。

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近年は水害を受けた地域や上下水道の不備な地域で大規模な流行が発生しています。

コレラで352人死亡 ナイジェリア、6千人感染
パキスタン洪水でコレラ拡大か 被災地で患者確認
ジンバブエ、コレラによる死者が1500人以上に

○日本におけるコレラの流行

日本でのコレラ発生は、第1次コレラ・パンデミックが日本へ及んだ1822年が最初です。その後、上下水道の整備される1920年代ごろまで、数万から数十万の患者が発生する流行を何回か繰り返しました。

現在、我が国におけるコレラは、海外で感染し国内に帰国してから発症した輸入感染症例が多いと言われていますが、汚染された輸入魚介類から感染したとみられる国内発生例の報告もあります。

ニュースBOX:県内の60代男性がコレラ感染 /茨城

また、国内でも時に集団発生が認められています。有名なのは1977年に和歌山県で起こった集団発生です。東南アジア方面のコレラ汚染地帯からの帰国者が感染源と推測されており、この時は1名が死亡し、患者は最終的に101名に上りました。その後も現在に至るまで、日本各地で集団発生が散発的に報告されているという状況です。

常日頃利用する飲食店での食中毒により感染するケースも多いことを考えると、大流行こそないものの日本においても無視できない感染症であると言えるでしょう。

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(この記事は医心伝心からの転載です)

狂犬病対策を考える場合、公衆衛生的な見地からすれば、イヌへのワクチン接種が重要です。しかし、前回のコラムに書いたとおり、今後は社会混乱が増してい くことが予想されますから、その混乱に紛れてイヌへの予防接種率が低下してしまう懸念があります。現時点ですら、下記の釧路市のような事例があります。
 

2010年08月20日

狂犬病予防接種率70%を下回る/釧路市

釧 路市内の狂犬病予防接種の接種率が昨年、WHO(世界保健機構)ガイドラインの70%を下回った。飼い主の責任で接種するのが当然だが、市がそれまで続け ていた催告を昨年に限って行わなかったことが影響しているようだ。市民環境部は「なんとか70%台に戻したい」と狂犬病の恐ろしさを訴えながら、接種を強 く呼び掛けている。

http://www.news-kushiro.jp/news/20100820/201008202.html

 

も し流行が発生してしまった場合は、ひたすら野犬やその他の感染動物を殺処分していくことが必要になります。もちろん、流行発生前と同様に、イヌへのワクチ ン接種率を向上させる努力も必要でしょう。ただ、これらの対策が奏功しても流行が終息するまでには一定の期間が必要になるので、流行地域では個人レベルで も狂犬病に対する注意が必要になります。

 

そこで、以下に個人レベルでの狂犬病対策を書いていきます。



<感染動物に咬まれる前の予防策>

1)流行地域ではむやみに動物に手をださない。

感 染動物に咬まれることにより、唾液中に多量に含まれたウイルスが体内に侵入することによって感染します。ですから、まず第一に咬まれないようにすることが 大切です。感染動物は狂犬病ウイルスに脳を侵され凶暴化しているため、通常はヒトを咬まない大人しい動物でも注意が必要です。また、感染源となる動物はイ ヌとは限りません(下図参照)。



狂犬病媒介動物.jpg2)ワクチン接種(暴露前接種

動 物との接触が避けられない場合や、近くに医療機関がない場所に長期滞在する場合は事前に予防接種をすることが勧められています。十分な免疫を得るためには 4週間隔で2回の接種と、その後6〜12ヶ月後の追加接種が必要です(計3回)。暴露前接種を受けていても、もし感染動物に咬まれた場合は、後述の暴露後 ワクチン接種が必要です。



<万が一、感染動物に咬まれてしまった場合の対処法>

1)傷口の洗浄

傷口を石けんと水でよく洗いましょう。可能ならば、エタノールなどの消毒液で消毒します。また、傷口にはウイルスを多量に含んだ動物の唾液が付着しています。傷口を口で吸い出したりすることは、かえって感染の危険を高めることになるのでやめましょう。(参考:

狂犬病のコウモリとキスした子どもたちを捜索中、米フロリダ州



2)動物への予防接種の有無

飼い犬ならば、飼い主に予防接種の有無を確認しましょう。



3)ワクチン接種(暴露後接種)

ただちに医療機関を受診し、できるだけ早く発症予防のワクチン接種(暴露後接種)を受けます。

 

暴露後ワクチンは、初回のワクチン接種日を0日として、3日、7日、14日、30日及び90日の計6回の接種が必要です。

 

前回にも述べたとおり、狂犬病は発症すれば致死率ほぼ100%の恐ろしい病気です。

 

国内で流行が発生した場合や、海外の流行地域に滞在する場合は、十分な対策を心がけたいものです。

 

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(この記事は医心伝心からの転載です)

狂犬病は発症すれば致死率ほぼ100%という恐ろしい病気です。近年、日本国内での患者の発生はありませんが、世界では今なお狂犬病が流行しています。

狂犬病が大流行!バリ島ですでに20万匹が処分
狂犬病コウモリがペルー先住民襲う、500人以上が被害

世界的に感染者は多く、WHOの報告によれば全世界で毎年3万5000〜5万人が狂犬病によって死亡しているといわれています。

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日本でも過去には狂犬病の流行がありましたが、1957年を境に国内での患者は発生していません。検疫を強化し、イヌへのワクチン接種を徹底するなどして根絶することができたのです。もちろん、根絶に成功したのには島国であることも幸いしました。

狂犬病ウイルスは、イヌのみならず、あらゆる恒温動物に感染します。キツネ、アライグマ、コウモリなど多彩な動物が感染源になり得ますが、とくに大陸諸国ではこれら野生動物から狂犬病ウイルスに感染した動物を駆逐することは難しいようです。

では、島国である日本では今後も狂犬病の心配はないかというと、そんなことはありません。日本でも再び狂犬病が流行する可能性は十分にあります。

今後の日本は、財政破綻・失業率の増加・犯罪の増加・異常気象など・・・社会の混迷が増していく要素がたくさんあります。原発震災のような社会機能が麻痺してしまう大災害が起こる可能性もあります。

狂 犬病の流行を防ぐにはイヌへの予防接種を徹底することが不可欠ですが、社会の混乱で人間が生きて行くだけでも精一杯の状況になれば、イヌの予防接種のこと などは後回しになってしまうかもしれません。生活苦から故意に、あるいは災害時の混乱などで不可抗力的に、飼い犬が捨てられ野犬化するかもしれません。

そして、野犬が増えれば、その野犬の間に狂犬病が流行するという負の連鎖も発生します。実際のところ、過去に東京では関東大震災による混乱で野犬が増えたために、それまで減少を続けていた狂犬病の発生件数が一時的に激増したといいます。

ま た、野犬が増え、イヌへの予防接種率が低下すれば、わずか数頭の感染動物が持ち込まれただけでも、大規模な流行を招きます。1997年まで狂犬病の発生が 無かったインドネシアのフローレス島は、3年後には全島に流行が拡大していましたが、その発端は漁師の船に乗って持ち込まれたたった3頭のイヌでした。

現在は検疫によりチェックされていますが、密かに感染動物が持ち込まれることも考えられます。世界的な気候変動によって発生する大量の移民が日本へもやってくるでしょうが、彼らに紛れて狂犬病に感染したイヌや野生動物が流入してこないとも限らないのです。

狂犬病は日本にとっても決して過去の病気ではなく、今後深刻な脅威をもたらす可能性のある疫病だという心構えを持っておくべきでしょう。

 

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先日秋月にて、Bさんとお話し(iChatによる文字チャット)をしていたところ、ジェネリック医薬品とは何かという質問を受けました。Bさんによれば、ジェネリック医薬品を希望する際に医療機関に提示するためのカードが町から送られてきたそうです。そのために、そもそもジェネリック医薬品とはどういうものなのだろうという疑問が生じたようです。

遠隔医療相談は通常はテレビ会議を使用して行なっていますが、この時は健康に関わる深刻な悩みではなく、日常生活から生じる素朴な疑問という性質のものであったので、私(司馬逸雄)はその場で文字チャットで回答することにしました。

 

続きは6月30日の「秋月便り」をご覧下さい。

今回は夫の高脂血症を心配している女性(Aさん)から相談を受けました。

○相談の内容

Aさんのご主人は以前から中性脂肪やコレステロールの値が高かったそうです。そして、仕事の都合で外食が多くご家庭での食事管理もままならない状況であり、3年前に比べて体重が10kgも増加してしまったため心配であるというご相談でした。

○相談の準備

今回は、事前に健康診断の検査結果を教えてもらうことにしました。方法はこちらからは指定しなかったのですが、Aさんは検査結果の報告書をデジタルカメラで撮影し、その画像を私に送ってくれました。その検査結果は次のようでした。

 

続きは、6月23日の「秋月便り」をご覧下さい

6月16日に秋月便りで配信予定の遠隔医療相談レポートの冒頭部分をご紹介します。

 

今回は夫の糖尿病が心配であるという主婦の方(Bさん)から相談を受けました。

○相談の内容

Bさんのご主人は、4年前に受けた健康診断で糖尿病を指摘され、要医療と診断されたそうです。その後、3ヶ月間ほど通院したことはあるが、現在は医者にはかかっていないため心配であるという内容でした。

○相談の準備

事前に回答してもらった問診票には、過去に糖尿病と診断されたことがあるという以上の情報は書かれていなかったため、糖尿病の程度など詳しい病状はわかりませんでした。健診結果の詳細をメールなどで知らせてもらうという方法もありましたが、検査結果の数値を手で入力するにしろ、検査結果報告書をデジカメやスキャナで取り込むにしろ、それなりに手間暇がかかります。そこで、今回は検査結果などの詳細はテレビ会議の場で直接尋ねることにして実際の相談に臨みました。

相談はiChatによる秋月テレビ会議で行なわれました。参加者はBさん、内科医である私(司馬逸雄)、精神科医の高橋さんでした。

 

続きは「秋月便り」をご覧下さい。

5月5日に秋月便りで配信予定の遠隔医療相談レポートの冒頭部分をご紹介します。

○相談の内容

遠隔医療相談のモニターに応募して頂いたAさんから「妻が出産に際して副腎の肥大による高血圧を患いました。副腎の肥大はCT撮影によって判りました。現在は降圧剤内服により通常の血圧に戻りましたが、今後の治療の見通しはどうなのでしょうか」というご相談がありました。

今回はこの健康相談の詳細についてです。

○相談前の準備

「副腎の肥大による高血圧」ということから、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの副腎腫瘍にともなう二次性高血圧を疑いました。ただし、これだけでは情報が足りないので、テレビ会議による健康相談を行なう前に、メールで幾つかの質問に回答してもらいました。

メールによる問診から得た情報としては
 ・3ヶ月ほど前に既に出産済みである。
 ・妊娠32週頃から高血圧がひどくなった。
 ・高血圧のため予定日より1ヶ月ほど早く出産した。
 ・高血圧に伴う自覚症状は特になかった。
 ・現在はセララという薬を内服中である。
などでした。

「副腎肥大を伴う高血圧」という言葉からは、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの副腎腫瘍にともなう二次性高血圧が連想されました。
(略)

続きは秋月便りをご覧下さい。
19日の土曜日は数名のインフルエンザ患者を診療した。連休前の駆け込みという面もあったかもしれないが、私の周りでもインフルエンザの本格的流行の兆しが見えてきた気がする。連休明けは忙しくなりそうだ。